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2011年12月 8日 (木)

to be listened  聴かれる、ということ

Photo_5    自分の感じていることって、自分でなかなかわかっていない。そういうことが、意外みたいけど、現実にはとても多い気がする。

自分の話が、さえぎられず、横取りされず、先回りもされず、安易にくくられもせず、指導されたり、助言されたりもせずに、ただ、ただ、聴かれること、受けとめられること。
その静かな受け皿があることで、ようやっと、きもちが言葉をさがしだせる。きもちと言葉とが、出逢っていける。
そうやって話すことは、放すこと。こころの詰まりやしばりから、ほんの少しとき放たれること。

きもちと言葉のそういった関係を、28年の紅茶の時間のなかで、何度も何度も見せてもらってきたなあ、と思う。

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重たい話、しんどい話ほど、聴く側はついつい、何か言いたくなってしまう。
黙ってないで、何か言ってあげなくちゃいけないんじゃないか、って、助言したり、励ましたり、なぐさめたり、、、してしまう。時には、後ろ向きのきもちを前向きにさせようと、はたらきかけたりも、してしまう。
それって、相手のためを思ってというより、きいてる自分が楽になりたくて、黙ってるのがしんどくて、何か言ってる場合が、ほとんどかもしれない。

聴かれている側はきっと、そんな言葉は望んでないんだと思う。

かつての私、よくそんな失敗をした。今でも時どきしてしまう。昔と少し違うのは、その失敗にすぐ気づけるようになったこと。

自分の中の透明なガラスのボウルに水をはって、その人が紡ぎだす言葉を、ただ、うけとめる水面になる。
そのひとが、話しながら自分のきもちに気づいていけるような、そんな聴き方って、毎回はむずかしいけど、でもできるだけそんな聴き方をしたい、と願っている。

まっすぐに聴かれることって、きっと、自分という存在が大事にされている、と感じられること。
こちらがまっすぐに聴くことで、あなたというひとが大切な存在です、とそのひとに感じてもらえたらいいな、と思いながら、静かに聴く。

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「今、自分がこんなきもちでいる、ということをわかってくれてるひとがいる、と知ることで、きもちが少し楽になる。少し救われる」

あるひとがそんなふうに言ってくれて、そうか、聴くということ、聴かれるということって、そういうことなんだ、と前以上に思うようになった。

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去年の9月に続いて、今年も一関によんでいただいた。「贈りものの言葉」という題で、私にいったいなにが語れるだろう、と前の日までも迷っていた。

そして語ったのは、上に書いたようなこと。きもちが言葉をさがせるって、どういうことだろうか、ということ。

集まってくださったかたたちは、先生だったり、親ごさんだったり。つらい話を聴く側になることも多いだろうけど、まず、ご自分たちこそ、ほんとはまっすぐに聴かれてほしい、と心から思いながら語った。

前もってリクエストもあったので、今年も、「ご自分に矢印を向けて、純粋に、あなたが言われてうれしい言葉、あなたへの贈りものの言葉を、どうぞ書いてみてください、よければ言葉のうしろの物語もかき添えて」とお頼みした。

ちいさな折り紙にびっしりと、ご自分のきもちやご家族への想い、過去のこと、現在のこと、書いてくださった方がいっぱいいっぱいいらして、7人で読み上げたこの日の「ほめ言葉のリレー」は、20分以上も続いたのでした。ひとつひとつが、いとおしい物語でした。

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午後は、陸前高田をとおって、大船渡へ。

かつてのにぎわいを知ってる先生にしたら、その道を通り抜けること自体、どんなにおつらかったろう。ずっと泣きながら運転してらっしゃるようにも思えた。
夜の道もまっくらで、それがいっそう切なかった。以前は港にも街にも、もちろん暮らしのあかりがいっぱいだったのに。

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この日、参加してくださったすべての方に一冊ずつ、私たち親子のあのちいさな冊子をおみやげにさせてもらった。Wow                                          

あの冊子の中の言葉はどれもみな、日本のどこかの誰かが、こんなふうに言ってもらえたらうれしい、こんなふうに言われたい、と願って出してくださったもの。

この日のどなたかの胸にも、その願いがそっと届きますように。

冊子を手にしたお一人おひとりが、あの3月の日からもうじゅうぶんにがんばってきた自分を赦したり、みとめたり、うけいれたりして少しほっとできる、、、そんな贈りものの言葉が、あの中にどうかひとつでもありますように。

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